血液の話 その②  〜血液には何が含まれるのか?〜 【山吹薫の昔の話】

山吹薫の昔の話

しかしこの人と話していると不思議なリズムになるなと山吹薫は内海青葉を見てそう思う。そしてその性別にもまた、そう言えば確かではないことも思い出す。

内海 青葉
内海 青葉

な~に?しんじんちゃ~ん?

山吹 薫
山吹 薫

別になんでもないですよ。

石峰 優璃
石峰 優璃

どうした?そしてその喋り方はどうにかならんのかね?

山吹 薫
山吹 薫

主任さんもひどいな~ボクのパーソナリティーじゃーん!

両手を広げてそう答える内海に、石峰優璃はただそうかとだけ答える。それには同感だなと山吹もまたそう思う。

内海 青葉
内海 青葉

それよりお話の続きしようよ~。そもそも血液って何処で出来るんだろうね~?

山吹 薫
山吹 薫

それはもちろん骨髄でしょう。骨の中にある芯の部分ですね。赤色骨髄と黄色骨髄があって、赤色の方で作られます。そして大人になったらそれは徐々に少なくなります。

石峰 優璃
石峰 優璃

重篤な疾患では移植する必要もあるからな。そして古代エジプトでは腸管で作られたというが、これは当たらずとも遠からずだな、血液を作るのにも栄養が必要だから。その材料を作ると考えれば・・・まぁ分からんでもない。そしてその後の研究で骨髄が発見された訳だ。

山吹 薫
山吹 薫

そういうの誰が見つけるんですかね・・・

さぁな。と石峰が薄い唇を広げて楽しげに頬を緩ませる。その顔は主任の童顔を更に幼くみせる。

石峰 優璃
石峰 優璃

血圧だってそうだぞ?最初は馬の動脈に管をぶっ刺して測定したというから興味深い。

山吹 薫
山吹 薫

なぜそんな生き生きとしているんですか・・・

内海 青葉
内海 青葉

まぁまぁ。とにかくそうやって血液は作られる訳だねー。そしてそれぞれの役割を持つ細胞に分かれていく。

山吹 薫
山吹 薫

赤血球と白血球、そして血小板ですね。そして赤血球を構成するものにヘモグロビン、そして白血球を構成するものにマクロファージやリンパ球などの、免疫に関わる細胞がそれぞれある訳ですね。

そうだねーと青葉は体を左右にゆっくりと揺らしている。それを見て山吹もまた釣られそうになるのを必死で抑えた。

石峰 優璃
石峰 優璃

そして血漿部分には多くの水分が流れる。この増減で血圧は決まることが多いな。そして体をうまく動かすための電解質、栄養となるアルブミン、エネルギーとなるブドウ糖が流れる。

内海 青葉
内海 青葉

代謝にも大きく関わるから血液が少ない貧血だー!って決めつけるのも安直だから注意だよー。それにブドウ糖が代謝されないと高血糖になったり、逆に足りないと体のエネルギーも無くなるから低血糖症状として意識を失うかもしれないのー

山吹 薫
山吹 薫

なるほどですね。血圧の増減だけでは語れない部分も沢山あるのですね。

だねー!と内海は大きく右手の人差し指を伸ばして笑みを浮かべる。左手は腰に当ててるから不可思議だと山吹は思い、石峰はなぜかそのポーズを興味深げに眺めている。

石峰 優璃
石峰 優璃

それは特に急性期ではダイナミックに変動するから注意が必要だ。他にも逸脱酵素といって、臓器が障害された時に出る物質やサイトカインなどの炎症を引き起こす物質もまた流れる。

内海 青葉
内海 青葉

そうそう。もちろん体の異常を正常にするための働きだねー。障害部位にそれらは集まるからそこが腫れる。もちろん流れもやや滞るから、よく聞く悪い血が溜まる。ということはそういうことなんだろねー

山吹 薫
山吹 薫

血液が大切なのは当たり前に聞こえますが、そう聞くと更にその組成の変化は意識しないといけませんね。目に見えませんから。

ふむ。と石峰は内海から目を離して満足そうに頷いた。何か特別な事を言ったのか?と山吹は眉を歪ませる。

石峰 優璃
石峰 優璃

そうだな。目に見えないからこそ考えなければならない。しかし目に見える事もまた重要だな。例えば赤血球、まぁヘモグロビンが過剰に減っていくと貧血症状となる。意識消失をしなくとも、極端に倦怠感を感じる事も多い。他にも唇の色や瞼の裏の色素が薄くなる。

山吹 薫
山吹 薫

なら白血球の減少も免疫の機能を低下させますね。

内海 青葉
内海 青葉

そうそう。白血病などの重篤な疾患以外でも、長期に渡って過度に栄養が取れていないとその状態になる事もあるね~。フレイルって状態の一つだねー。それに白血球に含まれる好中球などは、感染の時に特異的に増えるから見ておくと良いよー。

ふむ。と山吹は石峰を見る。新雪のように淡い透き通るような、その白い肌もまた不思議だと感じる。だけどもそんな事は決してないだろうな。と尊大に両手を組んでいる主任を見て山吹は眉を潜める。

石峰 優璃
石峰 優璃

そしてサイトカイン、炎症性の物質が全身に巡る事もある。

山吹 薫
山吹 薫

敗血症ですね。

石峰 優璃
石峰 優璃

半分正解だな。全身に炎症の原因となる菌が巡る。そしてそれに体が抵抗できなくなって敗血症となる。そしてその炎症に体が反応すると全身の血管の中で血液凝固へと進む。

内海 青葉
内海 青葉

DIC、播種性血管内凝固症候群ですねー。これは死に至る事も多い重篤な症状だから要注意!脳や心臓、肺といった生命維持に必要な場所に血栓が飛んでしまうからねー。そしてもちろん敗血症が注意なのは、なぜだか分かるー?

ムッと山吹は口をへの字に曲げる。内海は丸メガネの端を持ち上げて体を大きくゆっくりと横へと曲げた。

山吹 薫
山吹 薫

全身で炎症を起こすわけですからそれは危険でしょう。

石峰 優璃
石峰 優璃

それが何故危険かどうかを理解する必要があるな。そこがプロだよ

内海 青葉
内海 青葉

しんじんちゃんは、ま〜だま〜だで、か~わいいな~。

丸く刈り込まれた髪はさながらキノコだ。しかもまたよく動く。山吹薫はそう心の中で思いつつ、内海の挙動を興味深げに観察する石峰へと視線を移した。この動きには決して意味は無いだろう。それは口に出さない事にした。

山吹薫の覚え書 13

・血液は栄養状態にも大きく左右される。腸管から吸収された栄養で赤色骨髄で作られる。

・細胞成分や血漿の組成にも注意する。そしてそれを踏まえて患者の訴えもまた注意する。

・内海青葉の動きは目に余る。

【これまでのあらすじ】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。』

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