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山部薫はいつものように救急科のリハビリテーション室を訪れる。最初、この部屋を訪れた時からもう10か月以上経つ。そしてそこには最初の人変わらないように石峰優璃主任がいる。
ふふ。なんだ今日も早いな。たまには休まないと体を壊すぞ?
今日は血液ガス分析について、予習しておこうと思って・・・ってそれはこっちのセリフですよ。主任はこの前も休まれてましたし、働きすぎではないですか?
そうだな。と石峰は笑みを含む。いつものように足を組みつつ山吹を振り向いた。いつもより顔が白いような気がすると山吹は思う。
ふむ。しかし血液ガス分析の理解は呼吸リハビリに限らずリハビリを行う上で重要な事だな。特に緊急入院時に緊急検査として行われることが多く救急外来や集中治療室、手術室に一般的に血液ガス分析装置は配置されているが、広く一般化されたことにより一般病棟でもまたその検査値は見かける。そして多くのセラピストが学生の時から苦手な分野でもあるな!
なんでそんなに楽しそうなんですか。まぁ僕はそれほどでもありませんが・・・それでも常日頃から見ているわけではないですから得意という訳でもありません。
なるほどなぁと石峰は再び笑みを浮かべる。色素の薄い唇は広く広がり、目尻はやわらかい。普段と同じようで違う日常に山吹はおだやかな気持ちのままで困惑する。
どちらにしろまずはことばの整理だな。血液ガス分析で測定される検査結果は多くはあるが主にPaO2、PaCO2、pH、BEの値を見ることが多い。それぞれPaO2では血中の酸素化・・・つまりは血中にどれだけの酸素の圧があるのか、量とも言っていいがそれはSaO2と表記される。どちらも重要だ。そしてPaCO2は肺胞換気の状態、つまりは血中のCO2の値から肺胞で十分にガス交換が効率的に行われているかどうかを知ることができる。そしてpHやBEはアシドーシスやアルカローシスといった酸塩基平衡についての状態がわかる。つまりは全身状態の把握に十分な役割を果たしている訳だな。
呼吸状態と言ってもただ呼吸ができていることではなく、末梢まで十分に酸素を運べているかどうかが重要ですから。そのため循環動態もまた大きく関与しますね。いつもながら学ぶことが膨大です。
そんなもんだよ。と石峰は笑みをこぼす。しかしこう言った事は嬉々として話すのだから本当に主任はこの分野が好きなのだなと山吹もまた頬を緩ませる。
何事も全体像を掴まなければ学ぶにも辛いものがある。ここからは要点を絞りつつ実際にどのような場面でどう判断するかを経験しながら知識は深くなっていくものだよ。もちろん!その度に基礎に立ち返りながらということは忘れてはいけないからな。
それはもう主任達との日々で重々と承知しています。それに僕もそろそろ新人・・・ではなくなるのですから。
どうだかな?と石峰は右手を伸ばして山吹の額を突く。またこれかと山吹は眉をしかめつつ、薄いカーテンから朝日がこぼれるのを感じた。
山吹薫の覚書93
・血液ガス分析では主にPaO2、PaCO2、pH、BEの値を見ることが多いが、他の値もまた有用である。
・物事はまず全体像を学んだ上で各論を学ぶとイメージがつきやすい。もちろん基礎へと立ちかえることも忘れない。
・いつものような日々が戻ってきた。
【〜目次〜】
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