口腔ケアの話 ①  〜多くの効果と目的〜

口腔ケア

【告知】

—note創作大賞応募作品。表題左下のハートマークをぜひチェック!現在無料公開中!-

「君たちの言う正常で正しい動作は私にとっては呪いの言葉でしかないんだ!」

僕と彼女は、人生における転倒から立ち上がれず暗く正常からは逸脱した場所で再び出会った。

現職の理学療法士が記す本格リハビリテーション小説。

『坂道と転び方』 -1- 世界から逸脱した暗い部屋 (1/4章) / 小説 【#創作大賞2024】 《完結》|tanakan/理学療法士×作家/新作『坂道と転び方』無料公開中!
【あらすじ】 「君たちの言う正常で正しい動作は私にとっては呪いの言葉でしかないんだ! 正常から逸脱した私はもう普通じゃない。私はもう普通に生きることはできない! それに・・・歩かないでいるうちにこんなに足は固まってしまった。私はもう・・・ダメなんだ」  小桜 岬は人生における転倒で彼女は、暗い部屋の中でずっとひとりで生...

なんだか頭がぼんやりするっすね。白波百合は業務が終わったリハビリ室のプラットフォームに腰をかける。いつもの休憩室には山吹薫がいるのだけど、足が向かうことを拒んでいた。

進藤 守
進藤 守

こんなところでどうしたんだ?もう仕事は終わったんだろう?。

白波 百合
白波 百合

進藤さん。お疲れ様っす。ちょっと休憩中っす。

進藤 守
進藤 守

そうか。ならちょっと付き合ってくれ。

どうしたんすかね?と歩き出した進藤守の跡に白波は続く。進藤さんから珍しいなぁ。とST室の中に入り、進められるままに席に着く。

進藤 守
進藤 守

近々、病棟で口腔ケアについての講習を行うことになったんだが、悩んでいてな。

白波 百合
白波 百合

進藤さんでも悩むことがあるんすね。でも大丈夫っすよ。自分よりずっと、たくさん勉強も経験もしているっすから。自分が聞きたいくらいっす。

進藤 守
進藤 守

そうか。なら聞いてもらおうかな。口腔ケアとは読んで字のごとく口腔内のケア、一般的には歯磨きに類する行為である。しかし手足や認知面が十分ではなくなり、自身で行えなくなった方に行う重要なケアの一つだ。

白波 百合
白波 百合

またいきなりっすね・・・それは自分も気をつけているっす。誤嚥性肺炎を予防する重要なケアの一つっすもんね。

よしよし。と進藤は正面で目尻を和らげる。進藤は言葉以上に内に秘めるたくさんの言葉を持っていることを、今の私は知っている。先輩の過去と共に進藤の過去もまた知ったからである。

進藤 守
進藤 守

たしかに誤嚥性肺炎の予防に効果は多大だ。しかしそれだけではない。ケアが自身で行えないことによる不快感や症状の緩和、会話や発音の維持も目的となり、食事をより楽しむためには必要なケアとなる。

白波 百合
白波 百合

単純に自分たちも歯磨きをしていないと口の中が気持ち悪くなって、お食事も楽しめないっすもんね。でも・・・不快だからと言って自由に自分でできない人もたくさんいるっす。

進藤 守
進藤 守

よって口腔ケアは口腔疾患の予防および口腔機能維持のために行い、QOLの維持向上を目指すと言われている。ケアと表現されているけれど、リハビリテーションの一つだよ。立ち直るためのな。

言い終わると進藤は視線を逸らす。自分を見つめる白波の視線から逃げ出すように。山吹先輩と一緒にずっと大きな病院で働いていたのなら、自分なんかに聞く必要がないのにな。ただ勉強にはなる。と置かれたデスクの上で白波は指を組み合わせた。

白波百合の覚書 1

・口腔ケアは誤嚥性肺炎を予防することに効果的である。また不快感の除去や発音を円滑にするなど多くの効果がある。

・目的は口腔疾患の予防および口腔機能維持のために行い、QOLの維持向上を目指す。

・ちょっとだけ気が紛れるっす。

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

【心揺さぶるストーリー!理学療法士×作家のタナカンによる作品集!】

小説の中では様々な背景や状況、そして異なる世界で生きる人々の物語が織りなされます。その中には、困難に立ち向かいながらも成長し、希望を見出す姿があります。また、人々の絆や優しさに触れ、心温まるエピソードも満載です!

https://note.com/tanakannaika/n/n180b9baa3a29

コメント

タイトルとURLをコピーしました