人工呼吸器離脱の話 その②  〜離脱はどうやって進むのか〜 【山吹薫の昔の話】

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【看取りのセラピスト/ティザーPV第五弾】

目の前には奇妙に体を揺らしながら、うへへと奇声をあげる内海蒼葉がいて、となりには山のように巨大な岩水静がいる。最初は気圧されはしたものの、いつしかこんな光景にもなれるものだと山吹薫は眼を細める。

岩水 静
岩水 静

それでは人工呼吸器からの離脱について話していこうか。従来は人工呼吸器の酸素濃度(FiO2)を下げて、A/Cモードで管理しながら呼吸数を下げ、状態の安定を確認しながらA/C→SIMV±PS→CPAPと自発呼吸や覚醒の程度に合わせて進められ。Tチューブでの評価を行いそれから抜菅となるという。段階的に時間はかかるが安全に離脱を進める。これが従来の方法とのことだな。しかし細かな所は医師に委ねられ、現在も用いられる方法でもある。

山吹 薫
山吹 薫

とても合理的な安全な方法に思えますが、でもよく考えてみると人工呼吸器管理の目標の一つである、早期抜菅と早期のICU退室からすると・・・どうなんでしょうか?

内海 青葉
内海 青葉

もちろん疾患によっては有用だよ。脳血管障害で覚醒が著しく下がっていると、早期に抜菅に繋がっても覚醒が十分でないことに関連した再挿管のリスクも高い。でも例えば薬物中毒後で早期に回復が得られた際や主に全身状態や原疾患のコントロールが良好な場合には、人工呼吸器管理期間や、ICU入室時間の延長につながるとされているんだよ。

高度な医療が必要な現場であればあるほどチームの熟練度や共通の目標形成が必要になると思う。それはICUでリハビリするうちに胸が痛くなるほどに理解した。自分の知識不足もまた同じく。

内海 青葉
内海 青葉

それで長期の人工呼吸器管理が必要ないと医師に判断された場合には早期の抜菅が選択される。それが近年では特に行われるようになっているから、十分に理解する必要があると思うんだよー。もちろんその判断は医師によって行われるけど、治療の経過を予測してプランニングしておくのもまたボクらの仕事だねー。

岩水 静
岩水 静

必要なタイミングでリハビリテーションの介入が行えるようにな。特に急性期では状況を読む力が特に必要だと俺は思う。それは治療展開をどれほど理解しているかにつながるな。流れは大まかにこうらしいな。まずは酸素濃度(FiO2)が下げられる。次に原疾患のコントロールがなされているかどうか。そしてエコーなどによる血管内ボリューム評価、他にも心筋虚血の有無が評価される。鎮静と鎮痛役のコントロールにより覚醒させ自発呼吸の程度を評価する。そして一度はCPAP±PS,もしくはTピースで評価後に抜菅となるな。

山吹 薫
山吹 薫

なるほど。とてもスピーディで僕の理解が追いつかないような気がしますが。それでも特に抜菅前後の僕たちの呼吸機能評価も役立てそうですね。覚醒状態の変化、自発呼吸の程度。強さを測るための胸郭コンプライアンス、元々のフレイルの有無など、僕たちが普段評価する内容もまた早期抜菅につながりそうですね。

その通り!と岩水は山吹の背中を強く叩き、山吹は激しくむせ込んだ。それを見てうへへ。と内海は体をゆっくりと曲げる。

内海 青葉
内海 青葉

さっきも言ったけど全てが早期の抜菅が必要になる訳ではなく、ARDS,COPDの急性増悪だったり、自発呼吸が出ていても生命を維持するにはその力がとても弱い頚髄損傷の超急性期、覚醒状態が上がりにくい中枢性疾患の急性期ではすぐにとはいかないねー。

岩水 静
岩水 静

だからこそ我々もしっかりと評価して医師を中心に日々協議する必要があるのだな!もちろん!その都度説明してもらうなんて時間はないから、自分の研鑽が何よりも必要だ。そしてわからなかったら怖気ずに質問する!わからないまま進める以上に怖いことはないのだからな。もちろん!状況を読んでだ。

山吹 薫
山吹 薫

わかっていますよ。その空気感は今でもしっかり感じていますから。

それがまず第一歩だと岩水はガハハと身をそらせる。ICUで見ていた主任の後ろ姿、その隣に並べるのはいつになるのだろうか。山吹はデスクに頬杖をついて体重を預けた。

山吹薫の覚書104

・従来の方法は段階的に安全を確認しながら進められる。現在でもARDS、COPD急性増悪、頚髄損傷や中枢疾患のケースで行われる。もちろん医師の判断による。

・従来の抜菅、早期の抜菅共に理学的評価が医師の判断に必要となるケースも多い。よって常に状態の把握は必要。

・自信とは普段の努力と経験から出てくるものだな。いつになったら追いつけるものやら。

【〜目次〜】

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