Spo2測定の話　その② 〜測定時間とそのリスク〜

そんなに焦らず食べなくても良いんじゃ無いか？

大丈夫っす！

お待たせしました！続きをどうぞ。

なんというか・・・

Spo2とは何を測定しているかは話したね。

ヘモグロビン全体と還元ヘモグロビンとの割合を測定しているっす。Spo2が１００％でも先輩みたいな貧血の人には要注意っす。

うんそうだね。いや僕は貧血では無いけど。とにかく他にもSao2、Pao2等、別個に見るものがあるのだけどそれはまた今度にしようか。君のいう通りSpo2が100％でも注意が必要だという事だね。

勉強になったっす！

なら勉強ついでに。当然、心大血管疾患や呼吸器疾患の人みたいに十分な酸素の供給や抹消へ酸素を送れない人はSpo2は低下する。他にも術後や高度な発熱時など酸素消費量が過大となってもSpo2は低下する。そして運動直後に慢性疾患を抱える患者では特に低下する。

じゃぁそれらの事前情報が無いとして、Spo2が低下する事で何が考えられる？

ん？

それは十分に酸素が・・・ヘモグロビンが酸化ヘモグロビンになって無いという事っすか？

そ・・・・

どうせ『それだけ』って言うんすよね？

ええと、心臓や呼吸器に慢性的な疾患があったり、症状が進んだりしているって事っすか？後は運動を頑張り過ぎたとか。って先輩が今言った事の逆っすけど。

そうだね。疾患から症状の増減を確かめる事も必要。逆に症状から疾患を予測する事も必要だという事。これは受け売りだけど、覚えて置くと良いよ。患者を信用しても良いが、患者の状態は信用しない事。

ふうむ。なるほどっすねぇ。

さて、血液が心臓から出て心臓まで戻る時間はどれくらいだと思う？

何っすか？いきなり藪から蛇に・・・

それは大切な血液っすからね。一瞬で体を巡るはずっす。

なるほどね。ならこれは極論だけど、全身の血管を一つに繋ぐとどれくらいの距離になると思う？

そんなの・・・どうなんすかね？町内は一周できると思うんすけど・・・

君の町内がどれほど広いか知らないけれど、まぁ諸説あるが一般には１０万kmあると言われてるね。地球を２周半できる。

ブラジルまでひとっ飛びっすね！

うん。ならそれをどれくらいの時間をかけると思う？

いやぁ、正直半年あっても行けるかどうか・・・

いや君の話じゃなくてね。およそ1分間で体を巡るんだよ。

夢物語っすねぇ・・・

いや現実の話なんだけどね。

とにかく1分間の時間をかけて血液は体を巡る。だから今測定しているSpo2は凡そ1分かそれ以前の情報と言える。測定に掛かる時間も加味するとね。

世界旅行中の真っ最中なんすね。

血液の話ね。例えば運動終了直後にSpo2を測定して100％だったとする。でも運動前のSpo2の反映も強いから、運動終了後のSpo2とは厳密には言えないし、何より隣で患者は息を切らしているかもしれない。

1分経たない指先にその時の酸化ヘモグロビンが到達していないって事っすね。

そうだね。そして到達する頃にはすっかり測定し終えたと思うセラピストにより、再び運動療法が開始されるかもしれない。立ち上がった時にはSpo2が低下しているかもしれないのにも関わらずに。

でも患者さんが辛そうにしてたら一緒に休憩するもんっすよ？

うん。それは素直に褒めてあげよう。

その発言がすでに素直じゃないっす！

とにかく測定結果だけではなく患者を診る事が必要。もちろんそれが何を測っているかを理解するのも必要だ。という事だね。

それも誰かの受け売りっすか？

とにかく、患者をよく見てよく話して運動負荷を行う事だね。そしてSpo２だけではなく他の測定結果もまた、あくまで所見の一つだと考えるように。

それはもういい加減わかってきたっすよ〜