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さてさて。少なくとも今日からICUかと山吹薫は何度も頭の中でシミュレーションを行いながら早朝の救急科のリハビリ室へと足を運ぶ。そこにはいつもみたいに石峰優璃が居て、もう一人の人影もまた見えた。
おはようございます。主任はいいとして美奈さんまでいるとは意外ですね。
なによー。別にたまに早起きしたから来ただけだし迷惑だったかしら?
まぁいつも遅いからなぁ。そういえば今日から新人くんもICUの患者を担当することになるからちょうど良いかもしれない。今日は人工呼吸器についてもう一度確認しておこうかと思ってな。
あんたたちが早すぎんのよ。と高橋美奈は口を尖らせてなぜか非難の視線を山吹へと向けた。それでも主任と同じくらい長くこの救急科にいる作業療法士なのだからその知見もまた聞いておきたい。
それでは早速だが人工呼吸器の特徴といえば何が思い浮かぶ?
それはやはり陽圧換気であるということでしょうね。普段の僕たちは陰圧換気で肺に酸素を取り込んでいます。胸を広げる、横隔膜を収縮させて相対的に肺を広げる。そこで陰圧が生じて気道を通じて外気が肺を満たし呼吸がなされます。
そうね。ある意味それは人体にとって不自然なことなの。こう小さくはないチューブを気管に入れて酸素を送り込む気道内陽圧式が今の主流ね。もちろんそれは苦痛もまた少なからず伴うけれどその苦痛を和らげるために鎮静や鎮痛が行われるけど、まぁ・・・辛いよね。
まるで流れるように高橋はそう話す。働く分野が違っても基本的な共通する全身状態に関してはやはり共有するべきものなので、こう経験の差が如実に出てしまうと山吹はちょっとした悔しさを感じた。
そして人工呼吸器管理の目標は、適切な管理もまあそうだがそれよりも早期に人工呼吸器から離脱することが目標になる。なので我々理学療法士もそれを常に念頭を置いて主に身体的なアセスメントやフレイルやサルコペニアの有無、元疾患に至る原因の評価を進める必要がある。
そうそう肺損傷や酸素毒性、生命を特に呼吸の面から支える人工呼吸器も万能ではなくて長期使用による合併症もまた多く指摘されているわ。もちろん私たちもまたそれは知らないといけないの。目標をみんなで共有するためには基本的なことは知っておかなければいけないからね。
ええ。それは重々承知しています。一瞬の判断が大切になる現場で基本的なことの何もかもを教えてもらうことはできませんからね。
ふふーん。言うようになったじゃない!ねぇ。と高橋は石峰へと視線を向ける。そうだな。と朝日の逆光でその輪郭を確かにする反面、表情を隠した石峰がそう言った。
山吹薫の覚書97
・正常肺は胸郭と横隔膜の運動に関連して陰圧換気で酸素を取り込む。
・人工呼吸器は酸素を押し込む陽圧換気であるために長期利用に伴い合併症のリスクが高まる。早期離脱が目標になる。
・基本的なことを学ぶ。まずはそこからだ。
【〜目次〜】
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