しかし、こいつは何も変わらんな。と山吹薫は同期である進藤守をため息を吐きつつ眺める。
ともかく大動脈瘤はそのコブが出来る部位で名前も変えて、きっと症状も変わる事、そしてそれは生活習慣病の延長線上で起こる事が多い事は分かりました。このいつも不機嫌そうな山吹のストレスでいつか俺も起こるかも知れません。
その前にきっと僕がそうなるよ。それにどんな大動脈瘤なのかも考える必要があるな。分類としては紡錘状大動脈瘤と嚢状大動脈瘤があるな。前者は両側の丸くそれこそ紡錘状にコブが広がるもの、そして後者は嚢のように丸く血管の外に向けて膨らむものだな。
ほうほう。どこが膨らむか以外にもどうやって膨らむか。その膨らみ方にもいろいろあるものだな!
そうだな。それに加えて、通常なら動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造なのだが、それらが通常全て残ってままコブを作るのが真性大動脈瘤だな。しかし、それらの破綻により大動脈内腔と周囲組織との間に交通が生じて血液が周囲に漏出し、大動脈壁の外側に血液で満たされた腔が出来ることもある。これは仮性大動脈瘤と呼ばれて、そうなる事は必然的に最大層にあるのは線維性皮膜のみであるな。血栓化して血腫となっているが大動脈壁の破綻や破裂が生じた後の不安定な状態だと思うのだよ。
何ともまた難しいと山吹と進藤は石峰の言葉に頭を抱える。何度も想像して、頭の中に絵を描く。そして必死に考える。
そして大動脈瘤で最も重要な臨床的問題は当然破裂だな。一般的に血管外への血液の漏出を認めた場合が破裂と定義され、大動脈瘤の位置と痛みの場所が一致する場合には切迫破裂とされる。
ふむふむ。特に痛みには特に注意を払うという事ですね。手術適応でなければ保存療法でその疾患と付き合いながら生活をする人も多いです。当然別の疾患名でリハビリを行う人もいますね。ただの腰痛なんて考えないようにしないといけませんね。
ふむふむ、リスクは最も重篤なものから消していく事が大切って事だな。
言うじゃないか。そう石峰に言われて、えへへと進藤は無様に笑みを浮かべる。それを見て山吹はへの字の口を結ぶ。
その切迫破裂では、壁に在る血栓が一部崩れて造影剤が一部流入を認める事はある。近年ではその痛みがある事は危険な状態と認識した上で症候性の大動脈瘤は侵襲的な治療の適応となる事が多いな。
ともかく要は患者様の症状をしっかりと聞いて置く事が何事にも置いて重要ですね。特に保存療法の方ではリハビリ中でも常に念頭に置いておく必要があると思います。
ふむふむ!要は見た目!と言う事だな。
何だかお前が言うと別の意味に聞こえるな。目を細める山吹に向かってため息で進藤は返すのだった。
山吹薫の覚書75
・大動脈瘤では部位の他に正室でも分類があり、重篤なものも当然ある。
・保存療法の方でも痛みの初見には十分に注意を払う。
・何だか進藤が賢くなっているような気がする。気のせいか?
【〜目次〜】
『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。
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