それにしても何て穏やかな日なのだろう。そんな事を山吹薫と進藤守を目の前にしながら石峰優璃はそう思った。
され、大動脈瘤が手術適応となった時、カテーテル治療と手術治療があるのは話した通りだな。
そうですね!侵襲の少ないカテーテル治療、それでも困難な場合、根本的な治療として手術療法があるのでしたね!
それは人工血管置換術と呼ばれてて、その名の通り大動脈瘤を人工血管に置き換えるという手術ですね。胸部と腹部に多く施行されます。侵襲はカテーテル治療と加えて大きくはなりますが、根治となる治療の一つですね。
そうだな。と石峰はそう答えつつこの日々がいつまで続くのだろう。そんなことも考える。
胸部のものは大動脈解離の際に良く施行される。よって今回は腹部大動脈瘤について話そうと思うが、よくY字方の直径14ー22CMの人工血管が使用される。良く行われるのが臍の上下15ー22CM程度切開し、お腹を開ける開腹術として行われるな。大動脈瘤の上下や腸骨動脈を切断し縫い合わせる。言葉にするのは簡単だが、非常に高度の技術が必要なもので流石としか言えないな。
そうですね。治癒の過程で周囲の内臓と癒着しない様に配慮が必要だったり、大変な技術です。多くの患者様はその傷の回復に合わせて個人差はありますが一週間から10日で退院出来ると言われます。これはやはり個人差も大きくて、リハビリテーションの進捗にもよるので我々の腕の見せ所ですね。
流石に手術の痛みはカテーテル治療よりは大きそうですし、その侵襲も大きいから体への負担を大きい分、十分に術前に心身機能の評価も必要ですね。いやぁでもこんな治療が50年前くらいからあるなんてすごいっすね。
そうだな。とそう答えつつそんな事を考えるなんて自分らしくないとも思う。
それでは諸君!私が例えば腹部大動脈瘤を患っているとしよう。手術適応かどうか微妙な所だ。そんな私に君は何をしてくれる?
またそんな事を言う・・・そうはならないでしょう。
へっ?。
そして私はまた何でこんな事を言ってしまうのだろう。石峰優璃は呆れる山吹と困惑する進藤を柔らかく眺めながらそう思った。
山吹薫の覚書77
・人工血管置換術は侵襲こそが大きいが大動脈瘤の根治となる可能性が高い。
・短期での退院につながるが、リハビリの進捗による所も多い。
・やはり何故、主任はこんな事を言うのだ?
【〜目次〜】
『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。
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