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寒さが増してきたリハビリ室の隅で白波百合と坪井咲夜はのんびりと帰り支度を始めている。
うーー今日も頑張って働いたっすねー
そやなーまぁでもご飯がおしくなる季節やし、お腹が空くなぁ。
そうか、ならちょうどよかった。たくさんあるからどれでも好きなものを食べたらいい。
坪井は両手で伸びをしていると、背後に現れた進藤守の姿に、ふたりはぎょっと体を固める。そして進藤の差し出した菓子折りに二人はおー!と顔を見合わせた。
研修のお土産だよ。たくさんの栄養補助食品だ。最近は企業努力により昔よりもずっと味もおいしくなっている。
せやけどな。まぁありがたく受け取っておくけど、カロリー過多なウチらよりも他に・・・・ってその小脇にかかえているのはなんや?
Assessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)と書いてあるっすね。面白そうっす。それに・・・あっ!長神康雄先生が書かれているんすね!昔、山吹先輩から聞いたことがあるっす!とっても素敵な先生で特に誤嚥性肺炎にとっても詳しくて優しい先生っすよね!
山吹も知っていたか。とどこか残念そうに進藤は書籍をを取り出し二人に表紙が見えるように、表情はそのままで構えて見せる。この仏頂面はわざとかいなと坪井は目を細めた。
これは百合ちゃんが言う通り、呼吸器内科医でリハビリテーションにも非常に熱心な長神康雄先生からご紹介してもらった評価だよ。大きく分類すると嚥下機能の評価をおこなう評価なんだけどな、とてもよくできていると俺は思う。正直、STの数は他の療法士に比べて決して多いとは言えない。そのなかで患者に対する多くの嚥下機能評価は専門的な知識が必要となる。需要が年々高まる嚥下機能評価に対して、先生たちが嚥下機能評価に熟達していない医師や看護師、理学療法士らに開発したのがこの評価法になる。とのことだ!
確かに早期からの離床、そして安全で早期の経口摂取の必要性は今までたくさんおしえてもらったっす。それに専門の言語聴覚士の先生以外でも評価できるってすごいっすね。本当にできるかまだ不安っすけど・・・
せやなー。ほら、前にいろんな評価の用紙見せてもらったんやん?専門的すぎてちょっとわからへんって言うか、できればお任せしたいなぁなんて思ってたわ。
まぁそうなるだろうな。しかしSTがいない職場もまたある。訪問リハビリだってそうだ。STの数はまだ極端に少ないと俺は思っている。その中で誤嚥のリスクが十分に把握できず、経口摂取を安全に行えるかどうかが評価できない。そんな場所で非常に有効だと思うんだよ。
そういって進藤は評価表とその評価が描かれたページを見せる。そのページを顔を合わせて眺めながら二人合わせてほぉぉと歓声をあげる。そこには一目でわかるように綺麗にまとめられた評価表と共に、中止基準から細かな評価方法まで詳細に書かれていた。
これは・・・ちょっと試して見たいっすね。と白波は思う。もちろん二年目のセラピストである、自分一人ではまだ行えるとは思えなかったけど、それでも、せめて忙しそうなSTさんに自信を持って評価を依頼するためにも、使えるのではないかと思った。
すごい、すごいっす。すごくわかりやすいっす!なんだか見ているだけで、自分たちにもできそうに思えるっす!まぁでも勉強は必要っすけど・・・必要な評価器具も特別なものはないっすね!評価方法が記載されたページは評価する人の不安に寄り添うかのような、すごく丁寧に要所要所きちんと書かれているのがすごいっす!何回も読者の視点で推敲されたんですねぇ・・・
せやな。当然やけど、評価する人によって評価の結果は変わるやろ?確かにめっちゃ親切に書かれて入るけど、それでちゃんとした結果になるんか不安やん・・・
その点にも配慮されているの個人的には一番安心できる部分でもあるよ。検査者によって大きく結果が変化ないことが、すでに確かめられている。だから俺たちも他の看護師さんや百合ちゃんたちにだって勧められる。そしてこの書籍の中には予後予測に対しての検証もなされている。誰もが使えるわかりやすい評価表で、嚥下機能に対しての情報共有ができ、その先を考えることができる。俺からしてもこれ程ありがたいことはないよ。
なんや至れり尽くせりやん!最初は不安やから・・・進藤さん手伝ってくれるやんな!
もちろんだよと。進藤は笑い、ほぉぉ。と白波は両手を叩きながら声をあげる。
白波たちは書籍のページをゆっくりとめくる。ページをめくりながら開発に関わった先生たちの笑顔が見えて、自分もまだまだ頑張らないといけないっす。と白波はその笑顔を眺めながらそう思った。
【〜目次〜】
『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。
【Tnakanとあまみーのセラピスト達の学べる雑談ラジオ!をやってみた件について】
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【語り部の夜】
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