ICUでのリハビリの話 その① 〜目標とするべきところ〜 【山吹薫の昔の話】

ICU

とうとうこの日が来たかと山吹薫は両手を握る。その掌には汗が滲んでいた。

進藤 守
進藤 守

よー!ついに本格的にICUデビューだな!前の時にはただのマンパワーだったから大出世じゃないか。

山吹 薫
山吹 薫

うるさいな・・・あれからもうずっと振り返っている!だから大丈夫・・・だと思う。

内海 青葉
内海 青葉

ふっふーん!二人はとっても仲良しさんだね〜。

デスク前で隣に並んで茶化す進藤守をあしらいながら会話をしていると、その二人の間からヌッと内海青葉が顔を出し、二人はぎょっと体を固める。

内海 青葉
内海 青葉

ふっふー!緊張しているねぇ・・・確かにICUには一般病床とは違ってたくさんのモニターや機器が並んでいて不安になるよねぇ。どうしたら良いか分からなくて緊張するよねぇ。

山吹 薫
山吹 薫

なんでそんなに嬉しそうにしているんですか。そうですね・・・人工呼吸器をはじめ、中心静脈ルート、動脈血からモニタリングするAline、人によってはドレーンも各種挿入されていますし生命に直結するデバイスも多々ありますね。

進藤 守
進藤 守

それはなんだか怖いなぁ。リハビリはそのデバイスが沢山必要な患者様を動かしていく訳だろ?

確かにそうなのだと山吹は思う。時にはその状態で歩行までしなければならない。そう思うとやはり実は竦む。

内海 青葉
内海 青葉

そうだねーそうだねー!怖いよね!でも真に怖いのはそれだけのデバイスで治療やモニタリングが必要な患者様の状態だよね。デバイス類はワンパワー次第ではあるけれど対策により安全に近く離床は進むけどね。でも少なくとも必要とは言え患者様への体の負担はかかる。それが必要なのかそうで無いのかの判断も必要だね。

山吹 薫
山吹 薫

確かに考えてみればそうですね。その時の疾患にはよりますが患者様の状態も多種多様です。急変・・・のリスクというよりもその時の特に運動負荷に伴う状態変化に不安を感じますね。

進藤 守
進藤 守

しかし、離床は必要だろ?ある意味離床を進める事がICUでのリハビリの目標になるんじゃ・・・

うひひ。そう内海は奇声を上げて進藤守の顔を体を奇妙に丸めて覗き込む。それに合わせて進藤は体をキュッと固める。

内海 青葉
内海 青葉

ふふーん。もちろん2時的合併症予防の為にも離床は有効な手段になるさー。だけどリハビリの目標はそれだけではないよー。目標は入室前のADLになるのさ。その為にも必要なことは沢山あるのさー。

山吹 薫
山吹 薫

なるほど・・・それは確かにそうですね。離床出来たからそれで目標達成!とは行かないのですね。

進藤 守
進藤 守

ふーむ・・・なら更に知らなければいけないことは沢山ありますね・・・

そりゃそうだよねー。と内海は奇妙に体を捻る。しかし主任はまた休みだろうか・・・山吹は部屋の中をまた見渡してみた。そこには当然主任の姿は見当たらなかった。

山吹薫の覚書85

・安静時と共に動的なモニタリングを行う。その為に必要なデバイスを知る。

・離床だけが目標ではなく、リハビリの目標はあくまで元々のADL。

・しかし・・・なぜこうも奇妙に体を動かすのだ!?

【〜目次〜】

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