人工呼吸器離脱の話 その③  〜SATの進め方とリハビリ〜 【山吹薫の昔の話】

ウィーニング

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【看取りのセラピスト/ティザーPV第五弾】

むぅ。と眉間にしわを寄せる山吹薫を見て、なんかボクも年をとっちゃったなぁ。と内海青葉は思った。ガハハと身を背けながら笑う岩水を見て彼は変わらないと体を歪める。

内海 青葉
内海 青葉

れじゃだいたいウィーニングのイメージは付いてきたかな。それじゃぁウィーニングが進むために大切なことを今回は知ろうか。ひとつは自発覚醒トライアル(Spontaneous Awakening Trial)通称SATと呼ばれるものと自発呼吸トライアル(Spontaneous Breathing Trial)通称SBTだね。有名だから新人ちゃんも聞いたことがあるんじゃない?

山吹 薫
山吹 薫

特に人工呼吸器に関連したことの勉強をしていると必ず出てきますね。こう、アルゴリズムが表になっているのは見たことがありますが・・・詳細は自信ないですね。

岩水 静
岩水 静

正直でよろしい。ではおさらいだな。SATは人工呼吸器を使用している時、同調性を得るために鎮静薬を処方されていることがある。簡単に言えば鎮静薬を中止、減量されて自発的に覚醒が得られてるかの評価になる。SBTの前に確認されることでもある。

ふむふむ。と小生意気な新人ちゃんは一生懸命メモをとっているな。と内海は首を傾け山吹を眺める。まだ新人なのに彼はもう立派なば僕たちの仲間だ。岩水は話し続ける。

岩水 静
岩水 静

ただ鎮静は減量、もしくは中止されるが鎮痛薬は中止はされない。強い痛みは患者を不穏にさせる。不快でもあるからな。そして挿管後の気管チューブもまた不快だから一の調整を行う。その状態で施設にもよるが30分から40分ー4時間程度、覚醒の度合いを評価する。もちろん主治医とも相談しつつだな。

内海 青葉
内海 青葉

つまりは鎮静薬がなくても、興奮状態、持続的な不安状態、痛みがコントロールできない。頻呼吸とならずSpO2も90%以上保たれている。また不整脈が新規に出現しないといったことが確認されて成功となるね。そしてRASSは-1から0であること。さてRASSとはなんでしょうか?

山吹 薫
山吹 薫

これは知っています。Richmond AgitationーSedation Scale:通称RASSですね。患者の状態を図るスケールで。-5から+4まであります。0が正常としてマイナスに傾くと昏睡に近く、そして+が増えると非常に不穏が強くなるのですね。

山吹がパソコンを操作すると、RASSの評価票が出てくる。いつの間に準備していたのだと得意げな山吹を内海は見た。

内海 青葉
内海 青葉

そうだねー。その評価やGCSなんかは日常的に使えるようにしていて、変化を常に客観的に捉えられるようにしないとねー。そしてSATやSBTを進める上で大切なことは、今いる病院でどのような基準で、流れで行われるかということだね。特に環境の変化や刺激によって結果が変化しやすいSATなんかは特にね。リハビリの刺激自体が不安にしたり、逆に落ち着かせることにもなるけど、ここら辺は病院でやり方を決める必要があるね。

岩水 静
岩水 静

もちろんSATの時にはリハビリを行わない場所もある。こことは違ってリハビリがSATーSBTに関わらないところもあるだろうから。その辺は介入前に確認だな。

山吹 薫
山吹 薫

SATが成功したらSBTですね。早くそこらへんも教えてくれませんか?

素直に教えをこうようになったら、これはこれで生意気だな。笑みを浮かべる内海と山吹の頭を締め上げる岩水を見て内海は思った。

山吹薫の覚書105

・SATは覚醒状態を評価するもの。鎮静を落として覚醒を見る。各項目をチームで確認し、可能な範囲で共有する。

・RASSは日常的に見ておく、変化に気がつけるようにしておく。

・なんか気が楽だ。不思議なことに。

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