優璃と薫の参照記録 その③  〜『リハビリ科医とは』〜

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それは昔のリハビリ室。救急科のリハビリ室では今日も遅くまで蛍光灯の明かりが灯る。入退院も激しい場所であるから仕方が無いのだけど・・・と山吹薫は隣の石峰優璃へとサマリーを手渡す。

山吹 薫
山吹 薫

主任出来ました。今度回復期病院へと転院する患者様のサマリーです。

石峰 優璃
石峰 優璃

ふむ。お疲れ様。・・・そうだな。もうちょっとこの方の呼吸状態に関する記載があっても良いかもな。全身状態の変化はしっかりと情報提供せねばならないよ。なにもこのリハビリテーションサマリーをリハビリスタッフだけが読む訳では無い。

山吹 薫
山吹 薫

確かに看護師さん達も読むでしょうけど、回復期病院ではきっとこの方は動作メインの介入になるでしょうし、そこを重点的に書いてみたのですが・・・

石峰は背もたれに寄りかかりながら、くるりと山吹の正面に向き直ると、半分正解だな。そう答えて無邪気に頬を緩ませる。それはまるで少女の様で本当に成人しているのか?と疑問にはなる。

石峰 優璃
石峰 優璃

当然医師も読むだろう。それに最近は制度の変化や様々な理由でリハビリテーションを専門とする医師も増えてきている。よって全身状態を管理して頂く為にも、そういった情報もまた必要なのだよ。

山吹 薫
山吹 薫

確かに良く聞く様にはなりましたが、正直な所あまり関わりが無くて、どうもイマイチイメージが付き難いかもしれません。まぁ僕の勉強不足でもあるのですが・・・。

内海 青葉
内海 青葉

本当にそうだねー。こんな重要な事を知らないなんて、まだまだ新人くんだなぁー。

山吹は音もなく柱の影から顔の半分だけを出す内海青葉が目に入り、うひゃぁ。と情けない声を上げる。その姿を見て石峰はケラケラと笑い声を上げる。

内海 青葉
内海 青葉

ボクらは医師の指示の下で細かい運動を処方をしているけど、リハビリ自体の処方をするのは医師だからねー。それを忘れちゃダメさー。もちろん運動療法は重要な治療の手段だから先生もちゃんとリハビリを処方してくれるけれど、リハビリ自体を専門として処方して頂ければ、これほど心強い事はないさー。

山吹 薫
山吹 薫

だから音も無く訪れるのは止めてください!でも確かにそうですね。この救急病院の様にいろんな科の先生がいらっしゃっても中々見解の違いから方針が違う事もありますしね。やはり視点も違う場合もありますから、視点を共有しつつリハビリのオーダーを出して頂ければ心強いと思います。

石峰 優璃
石峰 優璃

ふむ。ならばこのブログを読んでみると良いよ。リハビリ科医のあつひろ先生が皆に分かりやすく説明してくれているな。

https://dratsuhiro.com/2020/04/12/リハビリ科医とは/

石峰から手渡されたスマートフォンで、山吹はその記事を眺めてみる。まるで医師が患者様に語る様に分かりやすく、そして優しい口調で語られるそれは、読み手のこちらも思わず安心感を覚える程だ。

山吹 薫
山吹 薫

なるほどですね。確かにリハビリは整形外科疾患のイメージが強いですし、それを専門とするリハビリスタッフも多くはいます。だけども此処の様な超急性期にいると様々な合併症に対してもまた常に対応が必要ですから、結局全ての病態を考えなければなりませんね。それはきっとリハビリを処方する先生もまた同じでしょうね。。

内海 青葉
内海 青葉

なんだったらボクらよりもずっと大変かもねー。受け持つ患者様の人数が段違いだし、それにその全てに目を通さなければならないからね。それに回復期病院では此処みたいに、困ったらすぐ他の科の専門医にコンサルトして指示を受ける!なんて事は難しいと思うし、全ての事に精通しなければならないから、きっとすごく苦労されているよね。

石峰 優璃
石峰 優璃

良く良くこのブログを読んでみると、まるで公的な場所で提供される情報の様に確かな情報が、実際の臨床に沿って描かれているから、このブログ自体が患者指導の良い教科書になり得るかもしれないな。

山吹 薫
山吹 薫

それに内科専門の先生であるのも心強いですね。退院前に成ればなる程、外科領域から内科領域へと問題点はシフトしますから。自宅での病状コントロールに関して言えば、内科医の経験を持ち、かつリハビリテーション医である、あつひろ先生はとても頼り甲斐があると思います。あくまでいちセラピストの視点ではありますが。

山吹は再びそのブログに目を通す。目に映り易くジャンル分けされた項目が目を滑る事は無かった。それに時事的に問題となる事柄に関してもリハビリテーション医としての視点で書かれているから、よりセラピストが読むべき内容かもしれないとそう思った。

内海 青葉
内海 青葉

まぁ結局の所、ボク達セラピストも、運動療法のスペシャリストとなるならば、呼吸器や循環器、消化器といった分野のジェネラリストにもならないとダメだからね。先生にいろいろ教わりながら一緒により良いリハビリが出来たら良いねー。

山吹 薫
山吹 薫

確かに身近に居て欲しいですね。どうしても分野が違うと考え方も違いますし、足並みを揃えたくても揃わない事なんて沢山ありますから。まぁこればっかりは僕の勉強不足かもしれませんが。

石峰 優璃
石峰 優璃

そうかもな。だけど学ぶ視点というのは意識しないとダメだよ。漠然と学んでいてもそれは所詮は漠然としたものだ。そうだな、私はまだまだ未熟だが『医師の視点でリハビリが行える』そんなセラピストに成りたいと思っているよ。あくまで私の考えだがね。

山吹 薫
山吹 薫

それもまた漠然としていて、今の僕には分かりませんが、とにかく、あつひろ先生のブログを読んで勉強する事にしますよ。

そうすると良い!と石峰は足を組んだまま頬杖を付く。きっと主任の見ている視点と僕の視点とではまだ大きく違うのだろう。いつか主任の見ている景色で臨床が見える様になるのだろうか。そう思いつつ山吹はブログを読み進める。そこには自分が目指す何かがある様な、そんな気がした。

リハビリ科医あつひろ
リハビリ科医師が一般の方向けにリハビリのことをお伝えします

【これまでのあらすじ】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

【これまでの話 その①】

【これまでの話 その② 〜山吹薫の昔の話編〜】

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tanakannaika|note
理学療法士でパーソナルトレーナーなブロガーです。また動画編集や過去には脚本執筆や演出、撮影、編集など多岐に渡って活動しておりました。楽しみながら学べる『内科で働くセラピストの話』を執筆中。

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一人目 ある男の友人の独白。|tanakannaika|note
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