感染の話 その③ 〜どうやって感染を予防するのか〜 【山吹薫の昔の話】

免疫

山吹薫は腕を組んでこちらを真っ直ぐと見つめる石峰優璃の視線を受け入れる。この視線からは目を反らす事なんて出来ない。

石峰 優璃
石峰 優璃

さぁ私が感染しないために、君は私に何が出来るだろうか?

山吹 薫
山吹 薫

僕が何かをするというより、主任が、ちゃんとやってくれるかの問題だと思いますよ。

石峰 優璃
石峰 優璃

まぁそれは君の生活指導次第だな。

ふふん。と鼻を鳴らして石峰はそう答える。僕の言葉は届かないだろうな。と山吹は一度息を吐く。

山吹 薫
山吹 薫

やはり最初は標準予防策のように普段の生活の中で気をつけてもらいます。

石峰 優璃
石峰 優璃

ほう?それはどんな事だろうか?

山吹 薫
山吹 薫

もちろん手洗いとうがいです。特に外出時でも気をつけてもらいます。多数の人が利用する場所やコンビニのトイレなんかもそうですね。当たり前ですがしっかりとやってもらいます。

石峰 優璃
石峰 優璃

ふむふむ。ならば外出しなければ良いのかな?

どうもこの話題になると主任は生き生きとするな。と山吹は思う。その理由は到底自分では思いは付かない。

山吹 薫
山吹 薫

そういう訳にも行かないでしょう。生活がありますから。だけども感染症の危険が宣言されている時には、なるべく人混みを避けて貰います。

石峰 優璃
石峰 優璃

ならば人混みの中に行く時にはマスクを付けて、手指消毒でもしようか?

山吹 薫
山吹 薫

それも完全ではありません。マスクは自分の飛沫を防護して、まぁ加湿する事で多少の防御は出来ますが、ウイルスなどの侵入を完全に防ぐ事は出来ません。それに手指消毒は効果がありますが四六時中・・・という訳にもいきませんから。

石峰 優璃
石峰 優璃

そうだな。まぁ私は元々、人の多いところは苦手だからその点は安心して良いよ。マスクをしっかりつけていても、取り外した時に手で鼻や口を触ると接触感染を招くようなものだから気を付けねばな。

なら聞かないでくれ。とは思いつつ普段この人はどんな生活をしているのだろうか。それがやはり気になる。

石峰 優璃
石峰 優璃

しかしそれだけで十分なのだろうか?手洗いやうがいをしっかりと行って、人混みを避ける。それも完全なのだろうか?

山吹 薫
山吹 薫

それに加えて生活習慣も見直して貰います。バランスの良い食事や、適切な休息や睡眠。普段から万全の体制で居てください。体を守る免疫の機能を維持しなければいけません。

石峰 優璃
石峰 優璃

適度な運動もそうだな。それに関しては君も気をつける必要があるかもな。

山吹 薫
山吹 薫

今は仕事が十分な運動みたいなもんですよ。後は・・そうですね。腸内環境を整えるようにすることも重要です。

ならば気をつけようかな。と石峰はそう答える。きっとそんな事などとっくにやっているのだろう。と山吹は思う。

山吹 薫
山吹 薫

そして室内を適度に換気して、乾燥を避ける事も必要です。例え外出の機会が少なくてもです。どこから連れてくるか分かりませんから。

石峰 優璃
石峰 優璃

なるほど。しかし、美容などに対して興味がない私は加湿器なんて持ってはいないなぁ。さてどうしようか。

山吹 薫
山吹 薫

ならば室内に洗ったバスタオルなどを干すなどの工夫でも良いと思います。

石峰 優璃
石峰 優璃

あはは。いやに家庭的な発言をするものだな。

石峰は笑い、当然ですと山吹は答える。そしてそう言えば、遠目に見る新雪のようなその肌からは気が付かなかったが、主任が化粧をしている姿は見た事がない。

石峰 優璃
石峰 優璃

ふむふむ。大分私の生活は整ってきたな。果たしてそれだけで十分かな?

山吹 薫
山吹 薫

後は・・・やはり主任には必要なさそうですが、原疾患のコントロールもまた必要だと思います。特に高齢者やそれに関わる人達が、まず気をつけて感染症に対する対策を行う必要があります。

石峰 優璃
石峰 優璃

いつ自分がキャリアになっているかは分からないからな。医療以外にも自宅で介護を行う人にもまた必要な事だな。

山吹 薫
山吹 薫

そして十分な情報を収集して、憶測で情報を伝えないようにします。不安を煽るような事はしたくありませんから。

ほう。と石峰が目を丸めるのを見て山吹は首を傾げる。自分が何か言ったかなと山吹は眉を潜めた。

石峰 優璃
石峰 優璃

そうだな。まずは不安の解消は必要だ。不安や恐怖やヒトを盲目にさせる。そのためには変化する状況で正しい情報を得る事が必要だな。

山吹 薫
山吹 薫

僕たちが不安を煽る事は出来ませんからね。

石峰 優璃
石峰 優璃

しかし君の指導を私が守る事が出来ず、私が発熱したらどうしたら良いのだろうか?

山吹 薫
山吹 薫

それは何かによりますが、やはり流行っている感染症が疑われる場合には、必ずその時にどうすれば良いかは、国やその専門の機関から対応について発表されていますから、それに準じて頂きます。

ならばその資料も必要だな。と石峰はそう返す。確かにと山吹はそう返す。

山吹 薫
山吹 薫

そしてそれが疑われる時にはやはり、自分がキャリアとして行動を行って欲しいです。もし家族に高齢の方がいらっしゃるのなら、自分は大丈夫でもその方が発症するかもしれませんから。

石峰 優璃
石峰 優璃

私には家族が居ないが、それも念頭に置いておくよ。

山吹 薫
山吹 薫

はい。是非そうしてください。

そう答えて見て、山吹はハッと顔を上げる。目の前には笑顔のままの主任が居た。

石峰 優璃
石峰 優璃

不器用な君の指導を守るかどうかは置いておいて、試してみる事にするよ。君も言ったからには、君自身も行う事だな。

山吹 薫
山吹 薫

それはちゃんと守ってくださいよ。

そう答えながら山吹は、思ったよりも自分が動揺しているのを感じる。確かな情報を得る事は必要だが、主任にそれを尋ねる事はダメだと、山吹は根拠もない確かな気持ちでそう思った。

山吹薫の覚え書 20

・生活習慣を整えて、手洗いうがいを徹底する。生活を見直す

・自分がキャリアかもしれないと考えて、特に高齢や小児の家族と接する時には注意する。自分以外で発症するかもしれない。

・主任には家族が居ない。

【これまでのあらすじ】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。』

コメント

  1. 橘右近 より:

    ここ最近は感染症のことが話題になっていますよね。なんだかんだで手洗いが癖づいてしまって
    1病棟でインフル蔓延しているときに、自分は罹らなかったりwwww
    「あ、熱があるかもしれない・・・。」と検温すると安定の平熱とかで渋々出勤したりしてましたwww

    毎回のごとく勉強になることをありがとうございます。次年度はさらなる進化を目指し、絵師の私、右近は
    グッズ販売をしたいと思っていますので、どうぞ御贔屓に。

    • tanakan より:

      返信が遅れて大変申し訳ありません。
      当たり前のことですが本当に大切なことだと思います。

      グッズ化企画も本当に楽しみにしております。
      こちらも多方面へとどんどん企画を広げていきたいので、
      こちらこそ是非ともご贔屓ください。

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