腎臓の話 その① 〜知っておくべき基本的な役割〜

腎臓

上代葉月は進藤守の音に続いてST室に入る。そこは賑やかな休憩室とは違い、業務後の静けさが緩やかに流れている。

進藤 守
進藤 守

まぁゆっくりとしなよ。ほらこれもどうぞ。

上代 葉月
上代 葉月

美味しそうなお茶だけど・・・やっぱりトロミが付いてくるんですね。

まぁ試供品だからな。と進藤は表情も乏しく笑う。それに合わせて上代も笑みを作る。やっぱり優しい人だな。そう思う。

進藤 守
進藤 守

それで腎臓についての復習の話だったな。俺は薫と違って語るのは苦手なんだが・・・

上代 葉月
上代 葉月

いえいえ。是非ともお願いします。

進藤 守
進藤 守

・・・ふむ。腎臓とはまぁ様々な働きがある。それで最も一般的な事は体の中の老廃物を体外に出す。といった事かな。体の中の老廃物には毒素を持つものもある。それだ十分に体外に排出されないと、尿毒症という中枢に作用する病態を引き起こす。まずはそれを防いでくれるところだな。

上代 葉月
上代 葉月

そうですね。それに毒素以外にも体内に水分が過剰にならないようにしたり、それに伴って塩分などの電解質の調整も行ってくれるんですね。体の環境を一定に保つために臓器の一つですね。

そうだな。と進藤は腕を組んでアゴに手を当てる。なにやら考えを纏めているような。この人も昔は山吹さんと共に救急科に居たというのだからきっと、たくさん勉強しているのだろう。上代はそう思う。

進藤 守
進藤 守

復習を続けようか腎臓は両方の腰の上あたり、背中側にあるな。背骨を挟むように左右に一つずつあって、左のほうが右より僅かに低い位置にある。大きさは直径10cm程度、幅が5cmかな、厚さは120-150gほどでちょうど形はソラマメに似ている。ちょうど握りこぶし分の大きさだな。

上代 葉月
上代 葉月

そう思うと大きなソラマメが腰に付いているようですね

進藤 守
進藤 守

そうだな。サイズとしては大きいが。そしてそこには尿をろ過するためにネフロンという特殊な構造がある。100万個ほどあるという訳だから膨大な。それは細い血管が鞠のように球状に集まった糸球体とそこにつながる尿細管という管で出来ている。

上代 葉月
上代 葉月

そんなにたくさんあるのですね。という事はそこに血液が流れ込んで、ろ過されて、尿細管に流れ込んでいく。ということですね。

端的に言うとそうだな。と進藤は語る。やっぱり無口なようで語り出すと、意外と多弁なのは山吹さんと同じだなと上代は思う。それは実際に話して見るまで分からなかった。

進藤 守
進藤 守

そもそもそこに血液が至るまでには、心臓を出てからしばらくして下降する体の中心の動脈から、腎臓の高さで左右に枝分かれして腎臓に入る。そこから細かく枝分かれしてその糸球体に流れると老廃物を含んだ血液がろ過される。それぞれ輸入細動脈と輸出細動脈と呼ばれていてまぁ文字通りだな。

上代 葉月
上代 葉月

そしてろ過された血液が体の中に戻るという訳ですが、心臓は絶え間なく動いていることを考えると膨大な量が流れ込みそうですね・・・

進藤 守
進藤 守

1日あたりに換算すると百数十リットルに至ると言われているよ。ただしそれがそのまま体外に排出されてしまうと、すぐに虚血だな。だからこそ、その糸球体でろ過された原尿に対して、その先の尿細管では水分が再吸収される。その結果、排出される尿量は1日あたり1.5Lになる訳だな。

ふむ。と上代は頷く。こうやって解剖学から生理学に繋げていくと理解はしやすい思う。こうやって何度もトレーニングしたのかな?と上代は思う。

上代 葉月
上代 葉月

そして尿細管で再吸収されるのは決して水分だけではありませんでしたね。

進藤 守
進藤 守

水分も重要だが、そこでコントロールされる電解質もまた重要だ。糸球体からつながる近位尿細管ではナトリウムやクロール、カリウムもそうだし、ブドウ糖や水素、重炭酸イオンが中心だな。そしてその次に大きく蛇行したヘンレのループでは水分とカリウム、ナトリウムとクロール、そして、そこから先の遠位尿細管ではナトリウムとクロール、カリウムや水に加えてNH3もまた集合管に注ぐ流れで吸収される。

上代 葉月
上代 葉月

こうして見てみると、とっても細かく電解質が調整されているのですね。

進藤 守
進藤 守

それだけ体を構成する上で重要ということだな。それに近位尿細管ではブドウ糖もまた吸収される。糖尿病の進行に伴い微小な血管が障害されて、腎障害を合併することは周知の事実だが、逆に一時的に腎臓が高度に障害されて再吸収能力に障害が起きれば、糖尿となる。これは腎性糖尿とも呼ばれる。前後関係次第では病態もまた変化する。順序が何事も大切だな。

そうですね。と上代は答える。そして目の前のトロミ茶を揺らしてみる。紙コップの中に映る自分の姿はくすんで見えない。

進藤 守
進藤 守

それに今話したのは、老廃物のろ過で不要なものを体の外に出す。そしてその過程で水分や電解質を排出、再吸収を行い体液のコントロールを行う。といったところだな。しかし腎臓の働きはそれだけではない事は知っているだろう?

上代 葉月
上代 葉月

えぇと・・あっ!体の中のホルモンにも関係がありましたね!

進藤 守
進藤 守

あぁそれは焼肉とは関係ない。・・・いや何でもない。それは極めて微量で働く体の中で標的の臓器で必要働きを促したり、逆に抑制したりする。神経系とはまた別の指令を伝える手段という事かな。次はその事に付いて語ろうか。語るのは・・・苦手なんだがな・・・

上代は一度首を傾げた後に、それが彼なりの冗談だと知って口元に手を当てる。本当に語るのは苦手なのかもしれないな。そんな事を思った。

上代葉月のルーズリーフ その4

・腎臓の機能は、老廃物の排出、水分や電解質のコントロール。そこにホルモンでの産出が加わる。

・解剖生理を理解して前後関係を整理していくと何だか分かりやすい。

・進藤さんは優しい人だ。

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

【Tnakanとあまみーのセラピスト達の学べる雑談ラジオ!をやってみた件について】

雑談で学べるラジオも好評放映中!たまにはまったり学んでみませんか?

『えっ!?マジでやるの!?雑談で学ぶ運動処方とか!!』【Tnakanとあまみーのセラピスト達の学べる雑談ラジオ!をやってみた件について】

【時間がない人にお勧めのブログまとめシリーズ!】

【ウチ⭐︎セラ! 〜いまさら聞けないリハビリの話〜】

コメント

タイトルとURLをコピーしました