みんなで語り尽くした小さな勉強会。
その終わりにわずかな静寂が訪れる。みんな業務後で疲れているのだ
仕方がありませんわと桜井玲奈もまた重たくなった体を捻る。
きっとこう言った日々の積み重ねで少しずつ成長するのだと思う。
環境を変えるのも一つだけど、今求めている目標とする場所は
今の日々の延長線上にあるのだから、今を大切にする事が必要だ。
それでも焦りますわね・・・そう思う。
自分が目指すセラピストの姿はきっと父の姿だ。
桜井はそう思う。整形外科の大きな病院のリハビリ部長。
その功績はきっと輝かしい、その娘もまた理学療法士なのだ
周りからもまた期待される。
それで生まれた九州からここに来たのかもしれませんね。
結果として逃げてきたからここにいる。
素敵なセラピストとも出会えている。
逃げるのもまた悪くはありませんね。そう思う。
そういえば今日に出会った岩水静さんはなんだか父に似ていましたわね。となんだかそう思った。
多分今日あの人に出会っていなかったら、今のこんな気持ちにはなっていなかった。ちょっと憧れますわね。そう思う。
「そう言えば・・・皆様はどのようなセラピストを目指していますの?」
へっ?と桜井を白波百合も、上代葉月も、坪井咲夜も驚いて眺め、坪井が口を開く。
「なんや唐突やなー!青春かいな!ええけど、自分はどうなん?」
「わっ私ですの?それはもちろん父のような筋骨隆々とした大きな背中を持つセラピストですの。体つきではなくてどっしりと安定感があって、落ち着いていて・・・」
「ほぼ見た目んやんけ・・・そやなぁ!ウチはまぁやっぱり頭のええスマートなセラピストになりたいわなぁ!こうメガネをくいっ!みたいな」
坪井のメガネを上げる仕草をみて、上代はゆっくりと首を傾げる。
「咲夜・・・目良いからメガネは要らないんじゃない?」
「葉月・・・そいうことやないんや・・・で葉月はどんなセラピストに憧れるん?」
「そうだなー。やっぱり高橋美奈さんみたいな大人な感じに憧れるなーこう優しくて、必要な時に必要な言葉を掛けられるような・・・」
「ほーん。ええやん!そんで百合はどうなん?」
そうっすね。と白波の表情はわずかな間曇る。その一瞬の間にどんな思いがあるのかは分からない。それでも白波は笑顔を作って
「そりゃぁもう!仕事が出来てスマートで、そんで後輩達に慕われる感じっす!」
「なんや意外と普通やな。しかし、玲奈はてっきり、もちろん薫様!と言い出すと思っとったわ」
「ふん!憧れと目標は違いますの。薫様は紫のバラを背負って佇むだけでよろしいのですわ。」
それはそれでどないやねん・・・と坪井は肩を落とす。
なんかこう言ってしまうと随分とすっきりとしますわね!桜井はそう思いつつ、なぜ白波さんは嘘を付いたのかしら。この子は一番心の奥底のものを隠す癖がありそうですわね。そんな事を考えた。
【〜目次〜】
『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。
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