COPDの話 その④  〜確認するべき様々な要素〜

COPD

沢尻悠はなんとか坪井咲夜の表情が穏やかになってきたのを見てホッと息を撫で下ろす。全くらしくない。そんな事を思いながら。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

そんで具体的にはCOPDのリハビリはどんな感じで進めるん?

沢尻 悠
沢尻 悠

そうだね。もちろんスパイロメトリーによる呼吸機能の評価と重症度の判定、どの程度の運動負荷に耐えられるのかといった運動負荷試験、そういった特殊な機器を用いる評価を行って厳密に運動どれほど耐えられるかといった、運動耐用能を把握する事はすっごく重要。だけども考えなければいけないのが、全ての病院や施設にそれらの特殊な機器を使用しての評価が定着していない、もしくはそもそも器具が無い状態でのリハビリを行わなければいけないって事なんだね。

ふむふむ。と坪井は頷く。その本心を隠したままに。だけどもそれは自分も同じだなと沢尻は思う。自分の立場を演じる内に、自然と人としての自分をなくしてしまったかのように感じる。

沢尻 悠
沢尻 悠

それでも日本呼吸管理学会や日本呼吸器学会のガイドラインに、呼吸リハビリに関する評価項目が載っていて、それがまず必要。その必須の評価に、問診や身体所見がある。そしてスパイロメトリーや心電図、胸部レントゲンや呼吸困難感、パルスオキシメーターを使用した経費的動脈血酸素飽和度、いわゆるSpO2の測定があるね。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

スパイロメトリーはさっき話した事やんな!そして胸部レントゲンではCOPDに特有な所見として、肺が硬くなったり、肺胞がその形を保てずに、ボワっと肺が広がって見えるんやな。その結果心臓が細く映ったり、下の方の横隔膜が下に押されて胸自体が広がって見える。樽状肺ってやつやな。他にも肺の組織を繋ぐ細胞の間質が硬くなって、すりガラスのように映る間質性肺炎の像を映す事も多いねんな。

沢尻 悠
沢尻 悠

問診で得られてなくても、胸部のレントゲンでハッと気がつく事もあるね。そして心電図では呼吸苦による頻拍だったり、性格習慣を基盤にする発祥だったら他の血管の疾患もある事もあるからよく見ておく事だね。心臓を栄養する冠動脈系の疾患が隠れているかもしれない。そして呼吸困難間は息切れスケールがあって、それは調べればすぐに出てくるけど、それを用いて日常生活でどのくらい息切れを感じていたかを知るのが大切だね。

やなぁと坪井は天井を見上げて何かを考えている。それはきっと母の事だろうかと沢尻は思う。そんな時に昔の自分ならどんな言葉をかけていたのかと思う。臨床で働いていない自分ならと。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

でもあれやんな。高度のCOPDを呈していたら呼吸困難感にも慣れてしまうやろ?息切れスケールは完全に当てになるんかな?

沢尻 悠
沢尻 悠

大切な指標にはなるよ。だけどもそれもあるから、最初の評価の段階でSpO2を用いながらどの程度動けるかを確認する。できれば普段行っている更衣とか整容とかからかね。いきなり長い距離を歩いて頂くととんでもなくSpO2が下がってしまう事があるから注意!本人は感じていなくてもどれだけSpO2が日常生活の中で低下しているか。それを知るだけでもその時点で評価が生活指導になるからね。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

評価がそのまま指導につながる。ええ事聞いたな!そやな!実際に数値で見な分からん事もまた沢山あるもんな!

そういう事だと沢尻は答える。昔の自分がどう考えていたかなんて決して思い出せない。だけどもだからと言って今の自分に何もできない訳でもない。

沢尻 悠
沢尻 悠

それに身体所見もまた必要。これには聴診もまた含まれるね。肺の硬さは触れないけど、胸郭の硬さは触れられるし、首のあたりの努力呼吸筋が膨隆していないか肩甲帯周りの筋肉がこわばっていないか、そもそもしっかりと腹式呼吸を行えているかどうか、をしっかりできて痰を出せるかどうか。あとしっかりと息を吐き切れているかも重要だね。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

最後まで息を吐きだせない事もあるんやったな。それにCOPDの方は痩せている事もまた多いから、手足の筋肉のボリュームや筋力、握力なんかもええな!それに体重やBMI、特にここ何ヶ月かで急に減少していたら要注意やね!そんで喫煙歴もまたしっかりと聞いておかなな。それだけで重症度の要因もまた一つ分かるもんや。

沢尻 悠
沢尻 悠

そしてやっぱり姿勢も重要!ここはリハビリスタッフの腕の見せ所だね!円背の姿勢や側弯だったりするとそれだけで肺が膨らみ難いし、普段からその姿勢でも正す事で呼吸が楽になったりするからね!でも体力的にそれが難しい型はベッドを少し頭の部分を上げられるようにクッションなどで調整する事もまた良いね。

全ての想いは言葉に出来る事はできない。むしろ単純に吐く言葉は相手の中で感情となる。そこまでは自分に図る事は出来ないと沢尻は思う。

沢尻 悠
沢尻 悠

それに加えて環境や何より患者様の状態が許すならば、SpO2やボルグスケールなどを用いて6分間歩行テストが重要!特に下肢筋力が低下している方だったら、息切れの程度と下肢の疲労の程度を分けて考えることで、アプローチの方向性が変わるから要チェックだね。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

全ての人が6分間、まぁ大体250m前後やろうけど、そこまで歩ける訳ちゃうからな。単純に歩ける時間や歩ける距離を測るだけでも良い評価になるな。でも無理は禁物やし息切れを感じる段階をまずは指標にしても良いかもな!

そうだと沢尻は答える。しかしいつものように戯けた言葉も出てこないものだと沢尻は息を吐く。自分の言葉は彼女の中でどのような感傷になっているのだろう。そればかりが気になった。

沢尻 悠
沢尻 悠

これらの身体的な評価に加えて精神的な心理的面での評価や傾聴もまた重要なんだよ。相手はそのCOPDに伴う息切れの症状によって生活を大きく制限されてしまう訳だから、苦痛に思い、生活の質を落としてしまう事もまた多いからね。

坪井 咲夜
坪井 咲夜

・・・そやな。相手の身体的な部分だけを見がちやけど、相手は筋肉や神経の塊と違うて人間やもんな。ウチらと一緒の。

うん。と沢尻は答える。これだけ話しても必要な事を話せているかは分からない。だけども・・・それでも・・・彼女の中に何かの形を残せるならば。そんな事を沢尻は考えながら一旦言葉を切った。

坪井咲夜の手帳 その8

・全ての機材が揃っての評価が理想だけど、そうでない状況もまた多い。

・特に息切れに関する事は自覚する個人さが大きいために、客観的評価もしっかりと併用する

・人としてではなく、セラピストとしてならば母にかける言葉もあるやろか。

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

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