腎臓の話 その② 〜腎臓が関わる体内環境調整〜

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何だかこの子も何か悩んでいるようだな。ST室で腎臓についての話を続けながら進藤守は目の前の上代葉月を眺めながらそう思う。

進藤 守
進藤 守

取り合えず腎臓についての基本的は話は済んだのだけど、次には腎臓がどういう風に体の恒常性に関わるかを一緒に考えてみようか。

上代 葉月
上代 葉月

はい!えぇと今までは腎臓は体液の調整、水分の量や電解質の排泄や再吸収から調整を行っているという事でしたね。

そうだな。と進藤は答える。しかしこうやって後輩に語る機会もまた随分と増えたと思う。前の救急科から今の病院へと山吹薫と移ってからはそんな機会は少なかったというのにな。と進藤はそんな事を思う。

進藤 守
進藤 守

腎臓は先ほど語った働きのほかにも、生命と体の恒常性を保つために様々なホルモンを作っている。その一つ目は血圧の調整に関わるレニンというホルモンだな。それは自身の臓器としての働きを十分に行うために必要であるとも言える。例えば腎臓は自身の臓器へ十分な血液が辿り着く事で始めて血液のろ過を行う事が出来る。ならもしそうでなければどうだろう?

上代 葉月
上代 葉月

えぇと腎臓は輸入細動脈から血液が入ってきて糸球体でろ過されますよね。それが少なくなると当然ろ過量も減って、尿量も減る。体の中に水分や排出すべき老廃物、電解質が蓄積しますよね。

進藤 守
進藤 守

そうだな。それには送り届けるための血液の圧力、つまりは血圧が大きく関与する。よって腎臓は体の血圧に関与するホルモンを作り出してそれもまた調節する。何も血圧の調整は心臓でのみ行われているという訳ではないという事を念頭に置くのも大切だ。

そうなんですね!と上代は少し驚いたように返事をしている。確かこの子は2年目だったなと進藤は思い出す。基本的な仕事を経験して、それぞれ自分の目指すセラピストと現実の乖離に悩む。そういう世代でもある。

進藤 守
進藤 守

腎臓は自身に達する血液の圧力が減少すると、その入り口である輸入細動脈でまずレニンを作り出す。それは血中に存在するアンギオテンシノーゲンからアンギオテンシン1という物質へと変化する。それはさらにアンギオテンシン変換酵素によりアンギオテンシンⅡへと変換される。それは体に流れる動脈を収縮させて、まずは末梢血管抵抗をあげる事により、血圧をあげる。

上代 葉月
上代 葉月

えぇと末梢の血管を収縮させて主要な血管へと血液が流れる圧力を増やす・・・という事ですね。いい方はあれですけど、例えば全身の血管が緩んでいるとダラダラと流れてしまって血圧も上がらないという事と取られる事が出来るかもしれませんね。

進藤 守
進藤 守

そういう言い方はイメージしやすいな。そしてアンギオテンシンⅡは同時に副腎に働きかけてアルドステロンを分泌させる。これは主に遠位尿細管に働きかけて、主にナトリウムの再吸収を働きかける。これは血中の浸透圧をあげて血中の水分を主にした血液量を増やす。この二つの働きによって腎臓の働きによって血圧も変化する。

ほぉ。と上代は何かをノートに纏めている。こうやって一つずつ誰かの言葉は自分の言葉になっていく。それはきっと薫にとっても、また自分にとっても同じなのだなと思う。

進藤 守
進藤 守

そして二つ目の働きは、エリスロポエチンと呼ばれるホルモンを分泌する事だな。普段途方もない量の血液が流れ込む腎臓には血液中の酸素の状態を感知するセンサーもまたある。これが今酸素が足りていない。と判断すると酸素を運ぶ役割である赤血球を作るために尿細管の周囲からホルモンを作り出す。

上代 葉月
上代 葉月

本当に腎臓さんはご多忙ですね。体の中の環境を一定にするためにこんなにも働いているんですね。

進藤 守
進藤 守

まぁそれを言うと体の中の臓器全体に言える事かもしれないな。そしてこのエリスロポエチンは骨の中にある骨髄と呼ばれる場所に働きかけて、血液を作る指示を出す。骨髄はもともと血液を製造する組織だな。

感心したように何度も頷く上代を見て、進藤はかつての休憩室を思い出す。今になっては遠い過去だけども、過去だからといって全てを忘れた訳でも、その時の気持ちを乗り越えられる訳でもない事は知っている。

進藤 守
進藤 守

それに加えて腎臓は骨を丈夫にするホルモンとの関与もあるね。それは活性型ビタミンDとも呼ばれる。肝臓と腎臓の尿細管で酵素の働きを受け、ビタミンDは活性型ビタミンDに変化する事で始めてその働きをする事が出来る。それは腸からのカルシウム吸収を促し、いわゆる骨を丈夫にする働きをするという事だな。

上代 葉月
上代 葉月

そうなんですね!でも昔・・・日光に当たって日向ぼっこすると骨にも良いと聞いた覚えがあるんですが・・・

進藤 守
進藤 守

日向ぼっことは懐かしい言い回しだな。またそれは紫外線によって、皮膚に存在する7-デヒドロコレステロール、いやゆるプロビタミンD3と呼ばれるものが、日光に当たる事によってビタミンD3へと変化すると言われているな。意外線の中のUV-Bと呼ばれる日焼けの原因になる光が作用すると言われるが、正直そこは門外漢であるから関与する。という事しか今の俺には言えないな。

上代 葉月
上代 葉月

なるほどですね。昔からの言い伝えにもなんかの意味があるのですね。それにしても進藤さんにも分からない事があるなんて驚きです。

その言葉に進藤はハッとする。かつての主任や先輩は全てを知っていて、自分には分からない事も当然のように知っているそう思っていた。

進藤 守
進藤 守

今でも分からない事だらけだよ。だからこうやって学ぶ事もまた多い。

上代 葉月
上代 葉月

そうなんですね・・・ならそれはきっと誰でも一緒ですね!

時にこうやって年齢とかそういうものは関係なく学ぶ事もまた多い。だから語る事は苦手だけども嫌いではない。進藤は一度首を横に振り、トロミのついた茶を口元にまた運ぶのだった。

上代葉月のルーズリーフ その5

・腎臓は体の恒常性を保つために、体液の調整の他にホルモンを分泌する。

・腎臓のホルモンは血圧を調整したり、赤血球を造る指示を出したり、骨を強くするものに大きく分かれる。

・先輩になっても日々たくさん学ぶ事もある!

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

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