心臓の話 その② 〜実際に何を送り出すのか〜 【山吹薫の昔の話】

心臓

救急科は眠りを知らぬほどに、朝と夜はずっと繋がっている。そう思うのはきっといつも変わらないこの人の姿だと山吹薫は、足を組みこちらを笑みを浮かべたままに眺める石峰優璃が居るからだとそう思った。

石峰 優璃
石峰 優璃

それで心臓はポンプの機能で全身に血を巡らせる。そういう話をしたが、ならばその血液は何が含まれる?

山吹 薫
山吹 薫

それは大きく血球と血漿に分かれます。血球はいわゆる赤血球や白血球、そして血小板であり、それぞれがその役割を果たします。そして血漿は90%が水分で構成され、残りの10%が固形成分となります。主なものとして各種の血液凝固因子、グロブリン、アルブミンなどのタンパク質になります。それに加えて、無機塩類、糖質、脂質を含みます。

石峰 優璃
石峰 優璃

ふむふむ。ならばただ血液を送り出すだけではなく、心臓はそれらを全身に運ぶポンプの機能とも言えるな。

その話の結論はどこに向かうのか。それが石峰の語り方だ。結論を先に話す良く纏まった資料とは真逆の語り方。それがどこか自分にとっては分かりやすいと思うのだ。

石峰 優璃
石峰 優璃

そして人が生きる為に必要なものは沢山あるが、その最もたるものが酸素だ。心臓の右の部屋から出た血液は肺へと至り、そこで酸素を受け取る。そして左の部屋から全身へ向けて酸素を送る。正確には酸素と結合した赤血球だが、脳みそなんてものはエネルギーの大食らいなもんだから、その15〜20%を消費するともいわれる。そのほかの臓器だって生み出されたエネルギーを使用する為には酸素が必要だ。

山吹 薫
山吹 薫

なるほど、血液を届けるということは様々な血液に含まれる成分、それに加えて酸素を全身に届けて生命を維持する。まずはそういう働きがあるのですね。

そうだ。と頬を釣り上げて無邪気に、そしてどこか人を嘲る猫のように石峰主任は笑う。その折れそうなほどの華奢な体は自分の何倍のエネルギーを消費するのだろう。そんなことを山吹は思う。

石峰 優璃
石峰 優璃

ならばその心臓の働きが低下すると、その血流ももちろん全身には向かわない。全身の臓器はエネルギー不足に喘ぎその活動を十分に果たせられない。何より送り出された血液は各組織との水分や老廃物の交換も行う。それが出来ないと余計な水分や老廃物が全身に溜まる。脳の血流は多くは維持されるが心臓でうまく肺から酸素を受け取れないと脳にも酸素がいかない。よってめまいや所謂立ちくらみという症状を引き起こす。そして高度になると意識を失う。

山吹 薫
山吹 薫

なるほどですね。単に心臓は血圧を保ちつつ全身に血液を送る。それを深く考えると様々な因子が関わる。ということですね。しかし、そう言って貰えれば分かりやすいのですが・・

何にでも回り道が大切なのだよ。思考にとってもそれはとても重要だと私は思うのだな。そう言って、主任は細く薄い色をした人差し指を額に当て首を傾げる。全く面倒臭い。と相槌を打ちつつ、今では当たり前になったこの日々がどうしようもなく愛おしくなっている。その気持ちには山吹薫は目を背けた。

山吹薫の覚書 59

・心臓はポンプの働きの結果、血液を全身に送るが、その中には酸素を始め重要なものを全身に送る。

・心臓のポンプ機能が十分ではないと血圧は下がり、結果としてその主要な物質が送り届けられないことの弊害が全身に起こる。その視点がまず重要

・この日々はいつまで続くのだろうか。

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

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