人工呼吸器の話　その⑥　 〜基本的なモードの話〜　【山吹薫の昔の話】

それでは盛り上がってきた所で、人工呼吸器の詳しいモードを説明しよう。まずはアシストコントロール（A/C：補助調節換気）。メーカーによってそれぞれ呼ばれ方は違うからその点だけ注意だ。これはすべての吸気において設定した一回換気量、一回吸気圧を送り込むモードだな。前回説明した圧換気や量換気の両方で用いることができる。設定された呼吸数の分だけ設定された一回換気量、一回吸気圧を送り込む。

それは目的にもよるのだけど、適切な沈静を元に選択されると呼吸努力が減少することにより、呼吸補助にて呼吸筋疲労の予防も目的にされるの。この呼吸筋疲労はただの肩こりなんて考えちゃダメよ？呼吸継続が困難になるほどなんだから。とても・・・エネルギーもまたすごく消費するの。

次はCPAP（持続的陽圧気道圧）だな。これは聞いたことがあるんじゃないか？吸気・呼気を通じて気道に一定の陽圧を掛けつつ自発呼吸をするモードだな。つまりは肺胞が虚脱しないように、また酸素化を効率的に行うためにPEEPをかけながら呼吸をサポートするモードだな。

よくできましたー。ここまでくると呼吸器からの離脱は目前って感じよね。でも必ずしもそうでないことは頭に入れておいて。このモードで呼吸を常に行わなきゃいけない人だっているんだから。

そして次はSIMV（同期式間欠的強制換気）だ。これはすでに説明したA/CとCPAPの中間にあると考えていいと思う。つまり強制的に換気される部分と自分で換気する部分があるんだ。ということはすでに説明したPCVとVCVを用いて人工呼吸器側の呼吸を管理し、そして自発呼吸についてはPSにてコントロールする。自発呼吸が出始めて人工呼吸器からの離脱が始まるときに用いられることもあるが、これは後に話すウィーニングの話でしっかりと伝えようか。

そうかもね。でも呼吸のタイミングは難しくて重症の患者さまほど自分でコントロールは難しい。時には人工呼吸器との同調性がなくなるの。だから常に呼吸だけではなく鎮静と覚醒の状態もまた一緒に評価していく必要があるわ。

他にも気道陽圧開放換気であるAPRVといったモードもあり、高いCPAPをかけておいて一定時間ごとに短時間圧を下げるモードだな。これはめいいっぱい肺を広げて、圧を開放することでCO2の排出を行ったり虚脱した肺胞のリクルートメントを行う。これらのモードは最初にも行ったがメーカーによって名前を少し変える。だから介入前にしっかりと確認するんだぞ。