徐々にリハビリ室の温度も暖まり、それは同じく一日の始まりを意味すると山吹薫は、ようやく朝の業務整理が落ち着いて肩を撫で下ろす、岩水静と内海青葉の前でそう思う。
ふー!やっと落ち着いたねー。しっかし主任ちゃんはいつもこの業務してるのかぁ。流石と言うか申し訳ないと言うか。
そんなに色々やる事があるのですね。普段はそんな風に感じませんが・・・。
それがすごい所だな!リハビリのオーダーの確認、新患の情報収集とプランニング!他にも諸々だ!そして新人よ!心筋梗塞の事を学んできたがいよいよそのリハビリの話だな!どう進める!?。
そうなのだな。と山吹は改めて主任こと、石峰優璃の事を思う。本当に自分の事を話さないからこういった時にしか主任のことは分からない。
それは多くはガイドラインを下にしたそれぞれの病院にあるクリニカルパスにてリハビリは進みます。一日一日段階的に移動できる距離も増えます。例えば、発症時には床上では有りますが、翌日からベッドに座り、その翌々日からは屋内の移動、その後は100mー200mと歩く距離を段階的に伸ばしていく。といった所ですかね。
そうだな。しかしそれもまた心筋梗塞後に生化学検査で確認されるCK-MBやCPKという値がピークアウト、つまりは上がりきった後に下降するタイミングで医師から指示が出た時に初めて介入が開始される。
そうそうー。心筋梗塞が収まり切っていないのに運動負荷を与えるなんて考えられないものねー。そしてそれらの多くは安静時のデータであるから運動時にはどうなるかはまだ分からない。そこはもちろんボク達の腕の見せ所だねー。
正直、主任の事をもっと良く知りたいと思う。どう生きればあの様にセラピストとして成長できるのか。自分がそれを出来るとは限らないけれど、それでも知りたいと山吹は思う。
もちろん闇雲に運動する訳にも行かないよー。息切れや動機、胸部症状が出現しないかの確認ももちろん必要だし、1mm以上の虚血性ST低下や著明なST上昇がないことはしっかりと確認する!これはとっても重要!
それに他の危険な不整脈が出ないかどうか、特に心室性の不整脈には気をつける事だな!もしくは20mmHg以上の収縮機血圧の上昇や、40回/分程心拍数が上昇しない、もしくは120回/分。に心拍数が上らないこともまた確認を行う事が必要だ。
ふむふむ。すべての施設にCPXなどの高度な医療器具があるとも限りませんからね。定められた基準とをしっかりと遵守する事が大切ですね。
しかし臨床で関わる患者様は多種多様だ。実際に運動を処方する上でも大切なことはある。こればっかりは経験によるから我々も常日頃精進せなばな!
次、主任はいつ来るのだろうか、また話せる日はいつなのだろうか。そんな上の空になる山吹の顔を、内海は奇妙に体をねじ曲げならがら覗き込み、山吹はうひゃぁと情けない声を上げた。
山吹薫の覚書72
・心筋梗塞後のリハビリは主要な検査地のピークアウトを確認してから医師の指示を確認して行う。
・多くはクリニカルパスやその中止基準に従いリハビリは進む。
・なぜ僕はこんなにも主任の事を考えているんだ?
【〜目次〜】
『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。
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