腎不全の話 その② 〜その症状が現れる理由〜

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なるほど・・・葉月はそんな事を考えていたんすね。白波百合は上代葉月の言葉を噛み締めながら、そんな事を考える。そんな気持ちを知ってかしらずか、山吹薫はいつもと同じ表情で話し出す。

山吹 薫
山吹 薫

ともかく、腎不全の大体の概要は理解できたかな。そもそも慢性疾患とは既往歴に書いてあっても今もなお症状として継続しているものだという認識が必要だな。

白波 百合
白波 百合

そうっすね。それで沢山の生活に制限が出てくるのは分かったっす。それでも自分らしい生活を提供する必要もまたあるんすよね!

上代 葉月
上代 葉月

沢山の病状がある事は分かりましたが・・・まだ自分がその事について詳しく説明出来るかというと疑問ですけど・・・

進藤 守
進藤 守

それならその症状を詳しく考えていこうか。それなら薫・・・頼むよ。

なんで僕がと山吹は頭を抱え、進藤守は僅かに口角を上げる。以前聞いた先輩たちの過去の一端。その物語の結末はまだ知らないと白波は思う。

山吹 薫
山吹 薫

まぁ良いが・・・ともかく腎臓の役割である、ろ過と排泄。この機能が破綻する事にまずは起因して様々な症状が起きる事は説明したな。それなら単純に余剰な水分を排泄できなくなると、体はどうなると思う?

白波 百合
白波 百合

えぇと・・・体の中に水が溜まると・・浮腫むっすね!あっでも浮腫むと言う事は血管の外に水分が移動して起こる事でもあるっすからちょっと違うっすか・・・?

上代 葉月
上代 葉月

血管を通った血液が腎臓でろ過される訳で、それが出来ないから血管の中にも余剰な水分があるって事で、どんどんそれが溜まる訳でしょ?そして心臓はそれを循環させる為にどんどん働かなければならない訳だから・・・負担にもなるんじゃないのかな?

進藤 守
進藤 守

そうだな。血管に余剰な血液、多くは水分だな。それが溜まり続けると、それをうまく循環させる為に心臓は多く働かなければならない。押し出そうにもその先に血液が溜まりに溜まっている訳だから、抵抗力もまた大きい。そして心臓にも強い力が必要になる。

山吹 薫
山吹 薫

そして生活習慣病を起因とした腎不全ならば少なからず動脈硬化も進んでいる可能性もある。それ以前に心臓が普段より過剰な収縮を要求されて働く。しかしそれも永遠ではない。永久機関の人形ではないからな。その仕事量が増え続けると心臓もまたいずれその機能を果たせなくなる。

ふむ。と白波は一度頷く、それにしても葉月の過去の一端もまた自分は知らなかった。それでも話してくれたらなんだか嬉しかった。あの少女に必要なのは同じ境遇だった人の言葉かもしれない。そう思う。

山吹 薫
山吹 薫

心臓は自分の収縮力だけでは上手く血液を押し出せないと、心臓はその収縮力を補填する為に風船のように膨らみ、その弾力で動きを代償しようとする。だけども体に水分が溜まり続ける訳だから、それもいずれは難しくなる。

進藤 守
進藤 守

体の中の水分が排泄できないとそうやって心不全の症状を呈する。それに排泄物もまた排泄できないことも大きな問題だな。電解質はその動きによって神経系の動きを構成する。それはまた心臓もまた同じで、特に腎不全の人はカリウムの蓄積が問題になる。

上代 葉月
上代 葉月

不整脈を起こすって事ですね。様々な不整脈はありますが、横紋筋融解症の時にも習いましたが、心臓を止める、もしくは心臓がブルブルと震えてその働きを行えない致死的な不整脈につながると聞きました。

白波 百合
白波 百合

ふーむ。カリウムっていうと結構沢山の食事に含まれてるっすもんね。果物だったり生野菜とか・・・食事指導もやっぱり重要っす!

困った時に誰かに頼る。それは重要な事でも困っている時ほどその選択肢は取れにくいと思う。困ってる事自体が自分には分からない事もあると白波は思う。

山吹 薫
山吹 薫

そして神経系に影響が出るのは何もカリウムだけではないよ。体が過度に酸性に傾き、尿毒症物質の蓄積により出現するのが尿毒症と呼ばれる症状だな。その尿毒症の物質は細かくは何かは分かってないらしいが、少なくとも腎機能の低下と代替えの治療がなされていない時にそれは起こるな。そしてそれは脳を初めとした中枢神経に作用する。

進藤 守
進藤 守

過度にぼーっとしてしまうという事だな。思考力が低下し、全身のだるさを感いる。食欲は失われ吐き気すら感じる。終始ストレスを感じ怒りっぽくなり不眠にもなるな。そして血圧上昇や心不全症状などの合併から息苦しく浮腫む。そしてその症状は自分で自覚は難しく周りの人が気がつく事もまた多い。

白波 百合
白波 百合

確かに、特に脳の認知面に関連する症状は自分では気が付きにくいっすもんね・・・

上代 葉月
上代 葉月

そうだよね。まるで人が違ったようになるのは怖い物だけど、いろんな疾患が隠れている事も多いから注意しないとね!

だね!と葉月を顔を合わせている。いろんな人はその人の過去によって今の自分が作られている。そしてそれは完全ではないし、全ての人が過去を乗り越えている訳でもない。そしてそれは先輩もまた同じなのだと白波は思う

山吹 薫
山吹 薫

そして当然、腎臓の血液のろ過に関する部分が障害される訳だから、血流量も減る。そしたら腎臓は腎臓に至る血液自体が減少していると判断して、レニンという前に話した血圧を上昇させるホルモンを分泌する。

進藤 守
進藤 守

全ての臓器に俺たちのような判断をする機構はないからな。体に水分が溜まり心臓が負担を感じている中で更に心臓が負担に感じる動きを取る。まぁこれもまた考えてみれば、その現場をなんとかしようとする働きなのかもしれないがな。それでも腎不全と心不全は多く合併する事のある疾患だ。

白波 百合
白波 百合

ふーむ。こう考えるとやっぱり体の中は繋がっていて、いろんな事を関連付けて考える必要があるんすね・・・

上代 葉月
上代 葉月

そうだね!でもだからと言って何もしない訳にはいかないから、出来る範囲で私たちも頑張らないとね!

今頑張っているのは僕だよ。と悪態を付きつつ山吹はふん。と口角を僅かにあげる。先輩を構成するその過去をやはり知りたい。白波はそんな事を考えた。

【〜目次〜】

『内科で働くセラピストのお話も随分と進んできました。今まで此処でどんなことを学び、どんな事を感じ、そしてどんなお話を紡いできたのか。本編を更に楽しむためにどうぞ。

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上代葉月のルーズリーフ その8

・ろ過と排泄が出来ない事で、体の中に過剰な水分と老廃物が溜まる。その結果心不全を始め様々な症状を呈する。

・特に動悸を感じたり、周りから見てぼーっとしているや、普段と違う反応があった時には要注意。

・出来る範囲で頑張れる。それはみんな一緒みたい。

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